(6)手放す強さ
ここまで5回にわたって、我が子を特別養子縁組で養親さんに託した翔子さんのインタビューをお届けしました。
翔子さんは並大抵ではない人生を歩んで来られた女性です。肉親から虐待され、大人に「守られる」経験をほとんどせずに20代半ばまで生き抜いてきたことに感動すら覚えます。それもただ生きているのではなく、しっかりと前を向いて、明るく生きようとしています。そして、誰よりも「家族」を必要としている立場にありながら、赤ちゃんの幸せのために自分から家族を手放す決断をしました。自分の状況を客観的に見る判断力と、赤ちゃんへの深い愛と、現実を受け止める強さがなければできない決断です。
本来であれば口にすることすら辛い経験を、知り合ってからの期間が決して長くはないスタッフの私に話し、そしてさらにウェブ上で公開することを許可してくださった翔子さんに、心から感謝します。
最後に、この記事に書かれていることはあくまでも翔子さんという一人の女性の経験であることをご理解いただきたいと思います。たとえば翔子さんのように虐待経験のある方がこの記事をお読みになって「自分も家庭を持つべきではない」と決心するようなことは、この記事の意図していることではありません。
勇気を持ってインタビューに応じてくださった翔子さんの思いが一人でも多くの人に届き、励ましとなりますように。
完