2023年7月11日

特別養子縁組 実親体験記(4/6)

(4)養親さんと過ごした大切な1時間  


スタッフM(以下M)翔子さんは、養親さんに会って直接赤ちゃんを渡しましたね。

 

翔子さん(仮名、以下S)養親さんに会いたいかどうか、児童相談所の人に事前に確認されました。会ったら絶対落ち込むから会わない方がいい、と言う友達もいました。でも、落ちてでも会わないと後で後悔すると思いました。養親さんにきちんと子どもを託すことで、母としての自分の最後の役目を果たそうと思いました。

 

M実際に会って、どうでしたか?

 

S当日まですごく緊張していました。3日前から何も食べられないくらい。実際に会ったら養親さんも緊張で手が震えていました。でも、まず私に「体調はどうですか?」と聞いてくれて。事前に写真を見せてもらっていて、写真から優しい感じの人だと思っていたけれど、実際に会ったらもっと優しかったです。

 

Mとても良い印象を持てたんですね。

 

S会って1時間くらい一緒にいました。養親さんはその日までに何度かユウ君(赤ちゃんの名前、仮名)に面会に来ていたので、その時のユウ君の様子や、ユウ君がどんな子かなどの話をしました。私も養親さんも、立ち会った児童相談所の人もシンシア(妊婦さんのための宿泊施設の家主)も、みんなずっと笑顔で、ほわほわした空間でした。

 

M養親さんと良い時間が過ごせたんですね。

 

Sその時はずっと笑っていて、面会が終わった後で泣きました。寂しい気持ちもあったけれど、寂しさよりも安心感から出て来た涙だと思います。肩の荷が下りて、何かから解放された感じ。直接会って話をして、この人たちなら大丈夫、ユウ君は絶対幸せになれると思って安心できました。

 

M最後にユウ君や養親さんと一緒に写真も撮ったんですよね。

 

Sその日、初めてユウ君を抱っこしました。赤ちゃんに記憶はないかもしれないけど、何かの形で、抱っこした私のことを覚えていてほしいなと思います。養親さんに直接託すことができて、私の中でも良い区切りになりました。



5/6に続く